覚え帳 › ギリシア・ローマの神々

ローマの神々

まず3つ

  1. ローマにはもともと、物語の少ない実務的な神々がいた。門、境界、家のかまどなど、暮らしの場面ごとに守り手がいる。
  2. ギリシア文化に触れるうちに、自分たちの神をギリシアの神に重ね、神話もまとめて取り込んだ。名前は同じでも性格が少し違う神がいる。
  3. 神々の祭りは国の行事。神官職は政治家が務め、儀式を正しく行って国を守ることが重視された。

ギリシアの神と対応する神

主な12柱(ディイ・コンセンテス)

ローマ名ギリシアローマでの姿
ユピテル(Jupiter / Jove)ゼウス「至高至善のユピテル」。国家の最高神。カピトリウムの丘の神殿で、ユノ・ミネルウァと3柱で祀られた。凱旋将軍はこの神殿まで行進した
ユノ(Juno)ヘラ女性と結婚の守り手。「忠告者ユノ(ユノ・モネタ)」の神殿の近くで貨幣が造られ、money、mint の語源に
ミネルウァ(Minerva)アテナ職人・手仕事・知恵。戦いの面はギリシアより弱い
マルス(Mars)アレスギリシアのアレスと違い、ユピテルに次ぐほど重んじられた。ローマを建てたロムルスの父。もとは農地を守る神の面も。古い暦では1年はマルスの月(3月)から始まった
ウェヌス(Venus)アフロディテアエネアスの母として「ローマ人の祖先の母」。カエサルの一族はその子孫を名のり、カエサルは「母なるウェヌス」の神殿を建てた
アポロ(Apollo)アポロンギリシアからそのまま入った神。初めは医術の神として。皇帝アウグストゥスが守護神とした
ディアナ(Diana)アルテミス狩猟と月。ネミ湖の森の聖域が有名で、フレイザー『金枝篇』の出発点
メルクリウス(Mercury)ヘルメス商売の神の性格が強い。名は「商品(merx)」と関係するとされ、merchant、merchandise と同じ根
ネプトゥヌス(Neptune)ポセイドンもとは淡水の神とされる。ギリシアと重なって海の神に
ウルカヌス(Vulcan)ヘパイストス破壊的な火の神。火事から守るため、町の外に祀られた
ウェスタ(Vesta)ヘスティア国のかまどの火。神殿の火を絶やさないウェスタの巫女(6人、30年間の奉仕、純潔の誓い)。ギリシアよりずっと重要
ケレス(Ceres)デメテル穀物。平民の守り手でもあった。cereal

そのほかの対応

ローマ名ギリシアメモ
サトゥルヌス(Saturn)クロノス種まきの神。王だった頃は黄金時代とされる。12月の祭りサトゥルナリアでは主人と奴隷の立場が入れ替わり、贈り物を交わした。Saturday、saturnine(陰気な)
オプス(Ops)レア豊かさ。opulent(豊かな)と同じ根
プルート(Pluto)、ディス・パテル(Dis Pater)ハデス冥界
プロセルピナ(Proserpina)ペルセポネ冥界の女王
バックス(Bacchus)、リベル(Liber)ディオニュソスリベルはもとはローマの別の豊穣とワインの神。熱狂的な祭りバッカナリアは前186年に元老院が厳しく取り締まった
クピド(Cupid)、アモル(Amor)エロス恋の矢。amorous
ファウヌス(Faunus)パン森と家畜。faun。妻とも妹ともされるファウナから fauna(動物相)
フォルトゥナ(Fortuna)テュケ運と運命。中世に「運命の車輪」の姿が定着し、米国の番組『ホイール・オブ・フォーチュン』まで。fortune
ウィクトリア(Victoria)ニケ勝利。元老院に祭壇があった。victory
ソル(Sol)、ルナ(Luna)ヘリオス、セレネsolar、lunar
アウロラ(Aurora)エオス曙。オーロラ
テルス(Tellus)、テラ(Terra)ガイア大地。terrain、territory
ユウェンタス(Juventas)ヘベ青春。juvenile と同じ根
ソムヌス(Somnus)ヒュプノス眠り。insomnia
アエスクラピウス(Aesculapius)アスクレピオス疫病のときにギリシアから迎えられた(前3世紀)
ヘルクレス(Hercules)ヘラクレス英雄から神へ。英語では普通ローマ名。Herculean
ユスティティア(Justitia)テミス、ディケ正義。下の「徳目の神々」へ

ローマ独自の神

ヤヌス(Janus)

クィリヌス(Quirinus)

家を守る神々

暮らしと土地の神々

徳目の神々

ローマは、大切な価値そのものを女神として祀った。

外から来た神

建国の神話

  1. トロイアが落ちると、ウェヌスの子アエネアスが父を背負い、家の神々を抱えて逃れる。カルタゴの女王ディドとの恋と別れを経て、イタリアに着く(ウェルギリウス『アエネーイス』)。
  2. その子孫の王女レア・シルウィアとマルスの間に、双子ロムルスとレムスが生まれる。川に流されたが、雌狼に乳をもらって育つ。
  3. ロムルスはレムスと争って殺し、前753年にローマを建てる(伝承の年)。死後は神クィリヌスとされる。
  4. 2代目の王ヌマが、暦や神官職などローマの祭りのしくみを整えたとされる。

雌狼に育てられる双子の像は、今もローマ市の象徴。

祭りと神官(英語に残っているもの)

出典


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更新 2026-10-25