覚え帳 › ギリシア・ローマの神々
原初の神々とティターン
ゼウスより前の神々。ヘシオドス『神統記』が基本の筋書き。
はじまりの流れ
- カオス(空隙・混沌)が生じ、続いてガイア(大地)、タルタロス(地の底)、エロス(愛)が現れる。
- ガイアはウラノス(天)を産み、夫とする。ティターン12柱、キュクロプス、ヘカトンケイルが生まれる。
- ウラノスは子を嫌って大地の奥に閉じ込める。ガイアに鎌を渡された末子クロノスが、父を傷つけて王座を奪う。
- クロノスは「子に倒される」と予言され、妻レアが産む子を次々に飲み込む。
- レアは末子ゼウスをクレタ島に隠し、代わりに産着でくるんだ石を飲ませる。
- 成長したゼウスは父に兄姉を吐き出させ、ティターンと10年戦う(ティタノマキア)。キュクロプスとヘカトンケイルを味方にして勝つ。
- 負けたティターンの多くはタルタロスへ。その後、巨人族との戦い(ギガントマキア)、怪物テュポンとの戦いにも勝ち、ゼウスの支配が固まる。
原初の神々
- カオス(Chaos) … 本来は「ぽっかり開いた空間」。後に「混沌」の意味に。英語 chaos
- ガイア(Gaia) … 大地そのもの。地球を一つの生命のように見る「ガイア仮説」の名に使われた
- ウラノス(Uranus) … 天。惑星 Uranus(天王星)、そこから元素 uranium(ウラン)
- タルタロス(Tartarus) … 冥界のさらに下の奈落
- エロス(Eros) … 原初の力としての愛。後の伝承ではアフロディテの子とされる
- ニュクス(Nyx) … 夜。眠り(ヒュプノス)、死(タナトス)などの母
- ポントス(Pontus) … 海。海の神々の祖
ティターン神族
| 名前 | 司るもの・家族 | 英語・英米文化では |
| クロノス(Cronus) | ティターンの王。妻レア。ゼウスたちの父 | ローマのサトゥルヌス(Saturn)と同一視 |
| レア(Rhea) | クロノスの妻。神々の母 | 土星の衛星レア |
| オケアノス(Oceanus) | 世界を取り巻く大河 | ocean |
| テテュス(Tethys) | オケアノスの妻。川の神々の母 | 土星の衛星テティス |
| ヒュペリオン(Hyperion) | 光。太陽・月・曙の父 | キーツの詩『ハイペリオン』 |
| テイア(Theia) | ヒュペリオンの妻 | 月をつくった衝突の仮説上の天体の名 |
| コイオス(Coeus) | 知性。レトの父 | |
| ポイベ(Phoebe) | コイオスの妻。レトの母 | 土星の衛星フェーベ |
| イアペトス(Iapetus) | プロメテウス、アトラスの父 | 土星の衛星イアペトゥス |
| ムネモシュネ(Mnemosyne) | 記憶。ゼウスとの間にムーサ9柱 | mnemonic(覚え方の工夫) |
| テミス(Themis) | 掟・正義。ゼウスの2番目の妻 | 天秤を持つ「正義の女神」像の源の一つ |
土星の主な衛星には、ティターンの名がまとめてつけられている(土星=クロノスに重ねられたサトゥルヌスのため)。
ティターンの子どもたち
プロメテウス(Prometheus)
- 名前は「先に考える者」。人間の味方
- 生贄の分け方でゼウスをだまし、人間が肉を取れるようにする。ゼウスが火を隠すと、それを盗んで人間に与える
- 罰として山に鎖でつながれ、毎日ワシに肝臓を食べられる。後にヘラクレスが解放
- 英米では「人類のために権威に逆らう者」の象徴。メアリー・シェリー『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』、P. B. シェリー『解き放たれたプロメテウス』、ニューヨークのロックフェラー・センターの金色の像。形容詞 Promethean
エピメテウスとパンドラ
- エピメテウスは「後から考える者」。兄の忠告を忘れ、ゼウスが送った最初の人間の女性パンドラを妻にする
- パンドラが壺を開けると、災いが世界に広がり、希望だけが中に残った
- 英語 Pandora's box(災いの元)。元の話では「箱」ではなく「壺」で、16世紀のエラスムスによる訳から「箱」が広まった
アトラス(Atlas)
- ティタノマキアでティターン側についた罰として、世界の西の果てで天を背負う
- ヘラクレスに、黄金のリンゴを取ってくる間だけ天を代わってもらう話がある
- 英語 atlas(地図帳。16世紀のメルカトルが書名に使った)、Atlantic(アトラスの海)
レト(Leto)
- ゼウスとの間にアポロンとアルテミスを宿す。ヘラの怒りで出産の場所を断られ続け、浮き島デロスで産む
そのほかの原初の存在
- キュクロプス(Cyclopes) … 一つ目の巨人。ゼウスの雷、ポセイドンの三叉の矛、ハデスの隠れ兜を作った。Cyclops(『オデュッセイア』のポリュペモスは別系統の一つ目巨人)
- ヘカトンケイル(Hecatoncheires) … 百の手と五十の頭を持つ巨人。ティタノマキアでゼウス側
- ギガス(Gigantes) … 巨人族。giant、gigantic
- テュポン(Typhon) … ゼウス最大の敵の怪物。エトナ山の下に埋められた。英語 typhoon の綴りに影響したとする説がある
- アマルテイア … 幼いゼウスに乳を与えたヤギ(ニンフとする話も)。その角がcornucopia(豊穣の角)とされる
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更新 2026-10-25