覚え帳 › ギリシア・ローマの神々
オリュンポス12神
オリュンポス山に住むとされた主な神々。12柱の数え方は資料により違い、ヘスティアの代わりにディオニュソスを入れることもある。
ゼウス(Zeus)… ローマ:ユピテル(Jupiter, Jove)
- 司るもの … 神々と人間の王。天空・雷・天候。客人と誓いの守り手
- 家族 … 父クロノス・母レア。正妻ヘラ。ほかに多くの女神・人間との子
- 象徴 … 雷霆(いかずち)、ワシ、オーク(樫)、王笏
- 主な神話 … クレタ島で隠れて育ち、父を倒して王に。白鳥(レダ)、雄牛(エウロペ)、黄金の雨(ダナエ)など、姿を変えて恋をする話が多い
- 英米文化では … オリンピアはゼウスの聖地で、古代オリンピックはその祭り。そこにあったゼウス像は世界の七不思議の一つ。ローマ名から jovial、By Jove!、惑星 Jupiter。木星の大きな衛星4つ(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)はゼウスの恋の相手の名
ヘラ(Hera)… ローマ:ユノ(Juno)
- 司るもの … 結婚・家庭・出産。神々の女王
- 家族 … ゼウスの姉で正妻。子はアレス、ヘベ、エイレイテュイア(出産の女神)、ヘパイストス
- 象徴 … クジャク、雌牛、ザクロ、王冠
- 主な神話 … ゼウスの恋の相手とその子を苦しめる。百の目を持つ番人アルゴスが殺されると、その目をクジャクの羽に移した(オウィディウス)。ヘラクレス(名は「ヘラの栄光」の意とされる)を生涯苦しめる
- 英米文化では … June(6月)はユノ由来とする説が一般的。Junoesque(堂々とした美しさの女性)。近代オリンピックの聖火は、オリンピアのヘラ神殿跡で太陽の光から採る
ポセイドン(Poseidon)… ローマ:ネプトゥヌス(Neptune)
- 司るもの … 海・地震・馬。「大地を揺るがす者」
- 家族 … ゼウスの兄。妻は海の女神アンピトリテ。子にトリトン、一つ目の巨人ポリュペモス、天馬ペガソス(母はメドゥーサ)
- 象徴 … 三叉の矛(トライデント)、馬、雄牛、イルカ
- 主な神話 … アテネの守護神の座をアテナと争って負ける。息子ポリュペモスの目をつぶしたオデュッセウスを、長く海でさまよわせる(『オデュッセイア』)
- 英米文化では … 惑星 Neptune とその衛星トリトン。映画『ポセイドン・アドベンチャー』。三叉の矛は海の力の記号として紋章やロゴに多い
デメテル(Demeter)… ローマ:ケレス(Ceres)
- 司るもの … 農業・穀物・実り
- 家族 … ゼウスの姉。ゼウスとの子がペルセポネ
- 象徴 … 麦の穂、たいまつ、豚
- 主な神話 … 娘ペルセポネを冥界の王ハデスにさらわれ、たいまつを手に探し回る。悲しみで大地が実らなくなり、娘が1年の一部を冥界で過ごす取り決めに。これが冬の由来。この話を元にした秘儀が「エレウシスの密儀」
- 英米文化では … ローマ名から cereal(穀物・シリアル)。準惑星ケレス
アテナ(Athena)… ローマ:ミネルウァ(Minerva)
- 司るもの … 知恵・戦略・機織りなどの手仕事。都市の守り手
- 家族 … ゼウスと知恵の女神メティスの子。ゼウスがメティスを飲み込んだため、成人した姿で武装してゼウスの頭から生まれる。生涯独身
- 象徴 … フクロウ、オリーブ、兜と槍、メドゥーサの首をつけた盾(アイギス)
- 主な神話 … オリーブの木を贈ってアテネの守護神に。英雄ペルセウスやオデュッセウスを助ける。機織りの腕を誇ったアラクネを蜘蛛に変える(オウィディウスではミネルウァ)
- 英米文化では … フクロウ=知恵の記号。ヘーゲルの「ミネルウァのフクロウは夕暮れに飛び立つ」。アテネのパルテノン神殿は「処女神」アテナの神殿。米ナッシュビルには実物大のパルテノン複製とアテナ像がある。カリフォルニア州の紋章にミネルウァ。aegis(後ろ盾・庇護)はアイギスから。arachnid(クモ類)はアラクネと同じ語
アポロン(Apollo)… ローマ:アポロ(Apollo)
- 司るもの … 音楽・詩・予言・医術・弓。後に太陽神と重ねられる
- 家族 … ゼウスとレトの子。アルテミスと双子。子に医神アスクレピオス
- 象徴 … 竪琴、弓矢、月桂樹、白鳥、カラス
- 主な神話 … デルポイで大蛇ピュトンを倒し、神託所を開く(巫女ピュティア。「汝自身を知れ」の銘)。追いかけたニンフのダプネが月桂樹に変わり、その葉の冠を身につけるようになる(オウィディウス)。ムーサたちを率いる
- 英米文化では … 月桂冠から laureate(poet laureate=桂冠詩人、ノーベル賞受賞者 Nobel laureate)、rest on one's laurels(過去の栄光にあぐらをかく)。NASA のアポロ計画。Apollonian(理性的・調和的)
アルテミス(Artemis)… ローマ:ディアナ(Diana)
- 司るもの … 狩猟・野山の獣・純潔・出産の守り。後に月の女神と重ねられる
- 家族 … ゼウスとレトの子。アポロンと双子。生涯独身
- 象徴 … 弓矢、鹿、猟犬、三日月
- 主な神話 … 水浴びを見た狩人アクタイオンを鹿に変え、自分の猟犬に襲わせる。母レトを侮辱したニオベの子らを、アポロンと射殺す。従者カリストは熊に変えられ、おおぐま座になったとされる
- 英米文化では … NASA の月探査アルテミス計画(アポロの双子だから)。エフェソスのアルテミス神殿は世界の七不思議の一つ。名前 Diana
アレス(Ares)… ローマ:マルス(Mars)
- 司るもの … 荒々しい戦争・戦場の狂乱
- 家族 … ゼウスとヘラの子。アフロディテの恋人で、子にポボス(恐怖)とデイモス(恐慌)、後の伝承ではエロス
- 象徴 … 槍、兜、犬、ハゲワシ
- 主な神話 … ギリシア人には好かれず、『イーリアス』では人間の英雄に傷を負わされ、父ゼウスにも疎まれる。アフロディテとの密会をヘパイストスの網で捕らえられ、神々に笑われる
- 英米文化では … ローマのマルスはずっと重んじられた(ローマの神々)。惑星 Mars、その衛星フォボスとダイモス。phobia はポボスと同じ語。martial(martial arts、martial law)、March
アフロディテ(Aphrodite)… ローマ:ウェヌス(Venus)
- 司るもの … 愛・美・性愛
- 家族 … 海の泡から生まれる(ヘシオドス)か、ゼウスとディオネの子(ホメロス)。夫ヘパイストス、恋人アレス。子にエロス、トロイアの英雄アエネアス(父は人間アンキセス)
- 象徴 … ハト、白鳥、バラ、ギンバイカ(マートル)、ホタテ貝
- 主な神話 … 「最も美しい女神へ」と書かれた黄金のリンゴを、トロイアの王子パリスに選ばせて勝ち取り、褒美に美女ヘレネを与える。これがトロイア戦争の発端(パリスの審判)。美少年アドニスを愛し、彼が死ぬとその血からアネモネが咲く。ピュグマリオンの彫像に命を与える
- 英米文化では … aphrodisiac(媚薬)。apple of discord(争いの種)。ピュグマリオンの話はバーナード・ショー『ピグマリオン』→ミュージカル『マイ・フェア・レディ』へ。ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』、ルーヴルの「ミロのヴィーナス」(実際はアフロディテ像)。惑星 Venus
ヘパイストス(Hephaestus)… ローマ:ウルカヌス(Vulcan)
- 司るもの … 鍛冶・火・職人仕事
- 家族 … ヘラの子(父はゼウスともヘラ単独とも)。妻アフロディテ
- 象徴 … 金槌、金床、火ばさみ
- 主な神話 … 足が不自由で、オリュンポスから投げ落とされた話がある。英雄アキレウスの盾と鎧、最初の女性パンドラを作る。妻の浮気を見えない網で押さえる
- 英米文化では … ローマ名から volcano、vulcanize(ゴムに硫黄を加えて強くする)。『スタートレック』のヴァルカン星
ヘルメス(Hermes)… ローマ:メルクリウス(Mercury)
- 司るもの … 神々の伝令・旅人・商人・泥棒・境界。死者の魂を冥界へ案内する
- 家族 … ゼウスとマイア(アトラスの娘)の子。子に牧神パン
- 象徴 … 翼のあるサンダルと帽子、蛇が2匹巻きついた杖(ケーリュケイオン、英語 caduceus)
- 主な神話 … 生まれた日にゆりかごを抜け出し、アポロンの牛を盗む。亀の甲羅で竪琴を作ってアポロンに贈り、和解する(『ホメロス風讃歌』)。ヘラの番人アルゴスを眠らせて倒す
- 英米文化では … mercurial(移り気な)、元素の水銀 mercury。NASA の初の有人計画マーキュリー計画。花の配達 FTD のロゴ、グッドイヤーの翼の足のマーク。米国では医療の記号に、本来の医神アスクレピオスの杖(蛇1匹)ではなくヘルメスの杖(蛇2匹)を使う例が多い(米陸軍医療部隊が1902年に採用したのが広まったとされる)
ヘスティア(Hestia)… ローマ:ウェスタ(Vesta)
- 司るもの … かまどの火・家庭・祭壇の火
- 家族 … クロノスとレアの長女。生涯独身
- 主な神話 … 物語はほとんどない。最初に飲み込まれ最後に吐き出されたので「長女で末娘」とも呼ばれる。家でも国でも、かまどの火に祀られ、生贄の最初の分け前を受けた
- 英米文化では … ローマのウェスタと聖火を守る巫女から vestal(純潔な)。ギリシアよりローマで重んじられた
ディオニュソス(Dionysus)… ローマ:バックス(Bacchus)
- 司るもの … ワイン・陶酔・豊穣・演劇
- 家族 … ゼウスと人間の王女セメレの子。ヘラにそそのかされたセメレがゼウスの真の姿を見て焼け死に、胎児はゼウスの太ももに縫い込まれて生まれる(「二度生まれた神」)。妻はクレタの王女アリアドネ
- 象徴 … ブドウ、ツタ、松かさのついた杖(テュルソス)、ヒョウ
- 主な神話 … 熱狂する女性信者(マイナス)を連れて各地をめぐる。信仰を拒んだテーバイ王ペンテウスは信者たちに引き裂かれる(エウリピデス『バッコスの信女』)。ミダス王に、触れるものが金になる力を与える
- 英米文化では … アテネのディオニュソス祭で悲劇・喜劇が上演され、西洋演劇の源とされる。bacchanal(どんちゃん騒ぎ)、Dionysian(陶酔的)、the Midas touch(何でも儲けに変える才覚)
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更新 2026-10-25